2026年7月22日、
TOKYO HealthCare Networkでは、オンラインセミナー
「あなたの知らない看護の世界 ――『看護師』は知っている。でも、『看護』は知っていますか?――」
を開催しました。
今回のテーマは「看護」です。
病院やクリニックで働く医療職の中でも、看護師はもっとも身近な存在の一つです。
一方で、「看護師が何をしているか」は知っていても、そもそも看護とは何なのか、どのような学問や理論を背景に発展してきたのかについて、体系的に学ぶ機会は意外と多くありません。
そこで今回は、一般社団法人日本男性看護師會 執行役員で、訪問看護の現場やステーション運営、人材育成など幅広い経験を持つ岩永 真林氏を講師に迎え、看護の歴史から理論、地域・在宅での役割、そして2040年に向けた看護の可能性まで幅広く解説いただきました。
セミナーは、
「看護師を知っている。でも、看護を知らない」
という問いからスタートしました。
看護は、単に医師の診療を補助する仕事ではありません。
患者の身体状態だけでなく、
といった視点から人を捉え、その人の生活そのものを支えていく専門領域です。
今回の講義では、こうした看護の考え方が、歴史の中でどのように生まれ、発展してきたのかを振り返りました。
病院で働いていると、看護は日常的な実践として目にすることが多いため、その背景にある理論や学問体系は見えにくいものです。
しかし、看護の世界には、患者をどのように理解し、何を課題として捉え、どのような支援につなげるのかを考えるためのさまざまな理論があります。
今回のセミナーでは、看護の定義の変遷とともに、看護診断についても紹介されました。
医学的な「診断」が病気や病態を捉えるものであるのに対し、看護診断では、患者が病気や治療によってどのような反応や生活上の問題を抱えているのかを捉えていきます。
医師とは異なる視点から患者を評価し、支援につなげる。
ここに、看護独自の専門性があります。
講義後半では、病院の外に広がる看護について取り上げました。
訪問看護では、患者の自宅そのものが看護の現場になります。
病院内では見えにくかった、
生活環境、家族関係、経済状況、服薬状況、食事、移動、介護力などを含めて患者を捉えなければなりません。
また、看護職が活躍する領域は在宅医療だけではありません。
企業における産業保健、学校、行政、地域活動など、私たちの社会のさまざまな場所に看護の専門性は存在しています。
「看護=病院の中の仕事」ではない。
この視点は、これから地域包括ケアや在宅医療を考えていくうえでも非常に重要です。
最後のテーマは「2040年への足音」でした。
人口減少と高齢化が進むこれからの日本では、医療を病院だけで完結させることはますます難しくなります。
治療が終われば医療も終わるのではなく、
治療から生活へ、病院から地域へ、医療から社会へ。
患者をどのようにつないでいくのかが、これまで以上に重要になります。
その中で、患者の生活を捉え、医療と暮らしの間をつなぐ看護の役割は、さらに大きくなっていくと考えられます。
病院の病床だけではなく、在宅、地域、職場など社会全体をフィールドとして考えたとき、看護にはまだ多くの可能性があります。
今回のセミナーを通じて改めて感じたのは、看護を理解することは、単に一つの医療職を理解することではないということです。
患者を病気だけでなく「生活する人」として見る。
病院の中だけでなく、退院後や地域での生活まで考える。
多職種や家族、地域とつなぎながら支援する。
こうした看護の視点には、これからの医療や地域包括ケアを考えるための多くのヒントがあります。
医療機関の経営や組織マネジメントに携わる立場にとっても、看護を単なる「人員配置」や「看護師数」として見るのではなく、看護という専門機能をどのように活かすのかという視点が重要になるのではないでしょうか。
今回ご登壇いただいた岩永 真林さん、そしてご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
今後もTOKYO HealthCare Networkでは、医療制度、病院経営、海外医療、DX、人材育成など、医療の「いま」と「これから」を考えるさまざまなテーマを取り上げていきます。
岩永 真林(いわなが まさき)氏
一般社団法人日本男性看護師會 執行役員。
訪問看護ステーション管理者を歴任。理学療法学科での学びを経て訪問看護の道へ進み、老年・成人・小児・精神領域など500件を超える在宅支援に携わる。
看護実践に加え、ステーション運営、業務改善、人材育成にも従事。訪問看護、キャリア形成、在宅医療などをテーマとしたオンラインセミナーにも多数登壇している。
TOKYO HealthCare Networkは、医療制度、病院経営、海外医療、DX、人材育成など、医療の「いま」と「これから」を多角的に学ぶ勉強会です。
的に学ぶ勉強会を継続して開催してまいります。