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2023/10/19

海外医療制度勉強会(第5期) #1 スイスの医療制度 ~世界でも評価の高い競争管理制度について~

スイスの医療制度は、最も優れた医療システムの一つとして評価されています。
その一方で、毎年上がる保険料がスイス国民にとって切実な問題にもなっています。

1996年の基礎医療保険に関する連邦法(LAMal)施行以来、スイスでは個人負担の割合は高い水準にあり、欧州の中でもかなり特異な制度を選択した事が分かります。 
「個人の責任に基づく制度 」として、医療保険は個人の責任で選択すべきとして設計をされています。
他のほとんどの国では、保険料は世帯収入に比例し、多くの場合、制度は税金で賄われているのに対して、スイスの医療制度は、医療保険料に被保険者の世帯収入や経済力が考慮されておらず、文字通り、自身の責任と選択を重視する「スイスの国民性を色濃く反映された制度設計」といえるでしょう。

これまで世界各国の医療制度を解説してきましたが、国民性と医療制度は非常に関係性が強く、スイスという国を理解する上で、医療制度の理念を知ることは非常に面白いファクターと言えます。

もちろん、最も優れている医療システムと言われるだけあり、スイスでは平等な医療アクセスが確立しています。 誰もが等しく同じ医療を受けられる制度設計で、貧しい人も富める人も同じ医師にかかる事でき、かつ予約もしやすいのも特徴です。

また基礎医療の保険カバー率も高く、様々な傷病を保険診療で受診する事ができます。

これらは日本に住む我々にも示唆する事が多くあります。
社会保険料があがり、自己負担率があがる(今回は高齢者でしたが、いずれ4割負担になる?)といった風景がスイスにはあります。

優れた医療制度を維持する為に多額の予算が必要であり、それをどう課題クリアをするのか?
2014年には、現在の「管理競争制度(公的保険を民間保険会社が扱うスタイル)」を廃止して、単一の保険公社により医療制度への移行が議会の議題に上がりましたが、制度として優れている事と国民にとってベストな選択が異なる事が分かります。

これらの課題は、今後、多くの先進国が経験するだろう、国民的議論の先行例ともいえるでしょう。

クソ面白い、スイスの医療制度!

一緒に勉強しましょう!