「教養としての戦争と医療と法」と題しまして、無料のオンライン勉強会を企画開催致します。
昨今の世界情勢などもありますが、何事も歴史があります。
今回、近代以降の国際情勢を学びながら、発見やら学びをしていければと思っております。
【講師】
緒方 健氏(鹿児島出身)
溝口博重氏(青森県出身)
【過去開催】
#1ウェストファリア条約~国家主権~
#2絶対王政への反抗~フランス革命~
#3ナポレオン戦争~欧州近代史の始まり~
さて、第一回目でとりあげますは、「ウェストファリア体制」です。
・国際法
・主権国家
・勢力均衡の思想
これらの西欧社会の規範が、現在にも少なからず影響をしております。
例えば、日米通商条約とか。
鎖国をしていた日本に対して開国を求めるアメリカですが、当時の日本は徳川幕府こそあれ、各地はそれぞれの大名が統治していました。
にも拘わらず、アメリカは徳川幕府と交渉して、日本全体と条約締結したと考えていました。
これは「主権国家」「国際法」の観点からは正しいですが、当時の日本の法度(法律)からすれば、「いつから徳川幕府がうちの領地の事まで口が挟めるようになったんだ、聞いてねぇぞ」となる訳です。
これは日本に限らず、植民地支配をする上で有効なルールでしたし、西欧的価値観の押し付けでもあります。
そもそも、このウェストファリア体制が、中世的封建制度の終焉ともいえるものでした。
1517年に始まったルターによる宗教改革。
ローマ・カトリックとプロテスタントの宗教的対立は16世紀のヨーロッパの様々な戦争の原因でした。
16世紀末のオランダ独立戦争、フランスのユグノー戦争(これらも宗教戦争です)が終わり、次は神聖ローマ帝国が舞台になります。
ローマ・カトリックによるプロテスタントの弾圧は、まずは神聖ローマ帝国の中での宗教紛争となります。
その後、北海の雄であるデンマークによるドイツ侵攻。
ついで、スウェーデンによるドイツ侵攻。
フランス、イングランド、デンマーク、スペイン、オランダ、スウェーデン、そして神聖ローマ帝国。
当時の列強でいえば、オスマン帝国こそ参戦しておりませんでしたが、17世紀最大の国際戦争となっていきます。
ローマ・カトリック教会の権威を背景として権勢をふるうハプスブルク家。
それに対するプロテスタントを中心とする反ハプスブルク同盟。
しかし、最後は、ハプスブルク家と同じローマ・カトリック教会を国教とするフランスVSハプスブルク家という図式になります。
フランスとしては、西にスペイン、東に神聖ローマ帝国とハプスブルク家の勢力があり、その権勢を削りたいという思惑があり、結果として、神聖ローマ帝国は30年に及ぶ戦争の舞台になった影響で、人口は戦争前の25%まで落ち込み、国土は荒廃。
カトリック教会の権威は低下し、300を超える領主が神聖ローマ帝国の傘下から独立し、ドイツはショボショボになります。
この三十年戦争の講和条約である「ウェストファリア条約」は、世界最初の近代的な国際条約とされています。
今日の国際情勢の原型が誕生した話になります。
フランス革命からナポレオン戦争、近代国家と覇権国家、植民地支配など、21世紀にも関わる国際情勢の起点となります。
まずはここから一緒に勉強をしましょう!