「教養としての戦争と医療と法」と題しまして、無料のオンライン勉強会を毎月最終週の火曜19時より企画開催しています。
https://geopolitics-war.peatix.com/
ご興味頂けるようであれば、是非ご参加ください。
昨今の世界情勢などもありますが、何事も歴史があります。
近代以降の国際情勢を学びながら、発見やら学びをしていければと思っております。
【講師】
緒方 健氏(鹿児島出身) 研究員
溝口博重氏(青森県出身) AMI&I代表取締役
【過去開催の動画視聴もできます】
#1ウェストファリア条約~国家主権~
#2絶対王政への反抗~フランス革命~
#3ナポレオン戦争~欧州近代史の始まり~
#4イタリア統一戦争
#5クリミア戦争
#6アメリカ独立戦争
#7アメリカ南北戦争
#8アヘン戦争
#9普仏戦争
#10ビスマルク外交とベルリン会議
#11 日清戦争
#12 日露戦争
#13 第一次世界大戦 前夜 ~バルカン戦争~
#14 第一次世界大戦 191-1915
テーマ:「第一次世界大戦前夜」
2025年5月27日(火)、弊社主催の月例勉強会「教養としての戦争と医療と法」の第14回をオンラインにて開催いたしました。
今回は、前回に引き続き第一次世界大戦をテーマとした新シリーズの第2回目として、「1914年から1915年にかけての戦争初期の展開と社会制度の変容」に焦点を当てました。
講義では、サラエボ事件を契機として開戦に至った欧州列強が、いかにして“想定外”の長期戦に突入していったか、その構造的背景と戦場の実態が多角的に紹介されました。
特に以下のポイントが中心に解説されました
1.「クリスマスまでに終わる」と信じた各国の誤算
当初は短期決戦を想定していた参戦諸国が、戦線の膠着と消耗戦の泥沼にはまり込んでいく過程を、シュリーフェン計画やマルヌ会戦などを軸に考察しました。
2.国家総力戦体制の芽生え
戦争が長期化する中で、各国が工業動員・食糧統制・徴兵制度・プロパガンダ体制を急速に構築していく様子を分析。ここから、20世紀型の「国家総力戦」体制の原型が浮かび上がりました。
3.医療・福祉制度の変化と対応力の限界
塹壕戦における負傷者の激増と感染症の拡大に直面しながらも、各国の衛生部隊や赤十字が果たした役割、軍医制度・義肢開発・精神外傷(シェルショック)への対応など、戦争と医療の関係を深掘りしました。
4.戦時国際法とその限界
捕虜の扱い、毒ガス兵器の使用、民間人被害の拡大などを通じて、戦時国際法が実効性を欠く中で倫理と現実がいかに乖離していったかを検証しました。
5.戦争の長期化がもたらした制度進化と社会変容
女性の労働進出、社会保障制度の拡充、検閲と情報統制の強化など、戦争がもたらした社会の変化と制度進化の「皮肉」を歴史的観点から考察しました。
当日は、前回に引き続き多数の参加者が集まり、チャットや質疑応答では「動員医療の限界とその教訓」「予想外の戦争が制度を進化させた逆説」などをめぐる議論が活発に交わされました。
次回は1916年以降の「戦争の泥沼化と変質」をテーマに、ソンム・ヴェルダンの大戦闘、国家体制の硬直化、そして戦争に倦み始める民衆の姿を追ってまいります。引き続き多くの皆様のご参加をお待ちしております。