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2025/7/29

【開催報告】第16回 教養としての戦争と医療と法 ~ 第一次世界大戦③ 1917年

「教養としての戦争と医療と法」と題しまして、無料のオンライン勉強会を毎月最終週の火曜19時より企画開催しています。
https://geopolitics-war.peatix.com/
ご興味頂けるようであれば、是非ご参加ください。

昨今の世界情勢などもありますが、何事も歴史があります。
近代以降の国際情勢を学びながら、発見やら学びをしていければと思っております。

【講師】
緒方 健氏(鹿児島出身) 研究員
溝口博重氏(青森県出身) AMI&I代表取締役

【過去開催の動画視聴もできます】
#1ウェストファリア条約~国家主権~   
#2絶対王政への反抗~フランス革命~   
#3ナポレオン戦争~欧州近代史の始まり~ 
#4イタリア統一戦争
#5クリミア戦争
#6アメリカ独立戦争
#7アメリカ南北戦争
#8アヘン戦争
#9普仏戦争         
#10ビスマルク外交とベルリン会議     
#11 日清戦争
#12 日露戦争
#13 第一次世界大戦 前夜 ~バルカン戦争~
#14 第一次世界大戦 1914-1915
#15 第一次世界大戦 1915-1916

テーマ:「第一次世界大戦Ⅲ」

1. 戦局の大転換 ― ロシア革命とアメリカ参戦
ロシア二月革命・十月革命
皇帝ニコライ2世が退位し、ロマノフ朝が崩壊。臨時政府が戦争継続を試みるも、労働者・兵士の不満が爆発し、十月にボリシェヴィキが権力を掌握。
→ ロシアは戦線離脱の方向に進み、東部戦線が大きく変動。

アメリカの参戦(4月)
ドイツの無制限潜水艦作戦による商船攻撃、さらに「ツィンメルマン電報」事件が契機となり、アメリカが連合国側で参戦。
→ 経済・人的資源の圧倒的な投入が、戦局を連合国有利に傾ける決定的要因に。

2. 戦争技術と戦術の変化
潜水艦戦の激化
ドイツは「無制限潜水艦作戦」を再開し、輸送船団を次々撃沈。これがアメリカ参戦を招いた。

航空戦力の発展
戦闘機・爆撃機の運用が本格化し、空が戦場の重要なフロンティアとなった。

戦車の改良
ソンムでの初投入を経て改良が進み、戦局打開への期待が増す。

3. 総力戦の深化
戦時統制の拡大
各国で食料・燃料の配給制が導入され、国民生活に直接的な制限がかかる。

女性労働の不可欠化
工場・運輸・医療現場で女性が中心的役割を担い、戦後の社会変革の布石となった。

プロパガンダと報道統制
戦意高揚・敵国非難の宣伝が強化され、国民の心理戦も重要な戦争手段に。

4. 医療・法の視点からの検討
医療面の進展と課題
「シェルショック(戦争神経症)」の症例が急増し、精神医学が大きく進展。
負傷兵救護体制が拡大し、輸血・整形外科・感染症対策の改善が進む。

法制度面の議論
潜水艦による無差別攻撃の合法性が大きな問題となり、「国際法の限界」が浮き彫りに。
ロシア革命後の「無賠償・無併合・民族自決」など新たな戦争終結原則が提起された。

5. 質疑応答のハイライト
「革命と戦争の関係」
ロシア革命がなぜ戦争継続を拒否したのか、思想的・社会的背景をめぐって活発な議論。

「戦争の人道的限界」
無制限潜水艦戦や毒ガス使用が、当時の国際法と倫理に照らしてどう評価されるか。

「医療の進歩と社会変革」
女性看護師や医師の活躍が、戦後のジェンダー平等にどうつながるかを問う声もあった。