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2025/5/15

【海外医療制度勉強会】「フランスの医療制度2025」

【実施報告書】海外医療制度勉強会(フランス編)
2024年5月15日、海外医療制度に関する勉強会を実施し、今回は「フランス共和国」の医療制度をテーマに取り上げました。参加者は医療従事者、行政関係者、医療関連ビジネスに関心を持つ方々など計27名でした。

勉強会は以下の構成で進行しました。まず第1章では、フランスの国家概要と行政構造、地域による医療アクセスの格差などについて解説しました。第2章ではフランス医療制度の成立背景を概観し、特に戦後の社会保障制度構築とユニバーサルヘルスカバレッジの実現に至る過程を整理しました。

第3章では「アシュランスマラディ(健康保険制度)」の仕組みとその財政構造、複数の保険基金(Caisse)による運営体制を紹介しました。また、私的保険(ミュチュエル)との補完関係にも触れました。

続く第4章では、医療提供体制を4つの小章(α〜δ)に分けて解説しました。

α:プライマリーケアにおける家庭医(Médecin traitant)制度とゲートキーパー機能

β:セカンダリーケアにおける専門医アクセスと公立病院・私立病院の共存体制

γ:調剤薬局の位置づけと、薬剤師による服薬指導の制度化

δ:デジタルヘルス(Mon Espace Santé 等)の現況と国家戦略(Ma santé 2022)

第5章では、Quality/Accessibility/Costの3側面(QAC)からフランスの医療制度を評価しました。特に、高度な医療アクセスと低負担の維持を可能にする一方で、医師の偏在・医療財政の持続性などの課題について議論を深めました。

第6章では医師の養成制度(大学+レジダント制度)、診療報酬(点数制と包括支払いの併用)、テレメディスンの普及、さらにフランスにおける医療観光の実態にも触れ、制度の多面性を整理しました。

最後に質疑応答を含むまとめの時間を設け、参加者間での意見交換も活発に行われました。参加者からは「日本とは異なる公私併存のあり方が印象的だった」「社会保険制度の財源構造がよく理解できた」といった声が寄せられました。

来月は、ドイツの医療制度をテーマに、引き続き勉強会を開催する予定です。