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2025/3/25

【教養としての戦争と医療と法】日露戦争(1904-1905年)

「教養としての戦争と医療と法」と題しまして、無料のオンライン勉強会を毎月最終週の火曜19時より企画開催しています。
https://geopolitics-war.peatix.com/
ご興味頂けるようであれば、是非ご参加ください。

昨今の世界情勢などもありますが、何事も歴史があります。
近代以降の国際情勢を学びながら、発見やら学びをしていければと思っております。

【講師】
緒方 健氏(鹿児島出身) 研究員
溝口博重氏(青森県出身) AMI&I代表取締役

【過去開催の動画視聴もできます】
#1ウェストファリア条約~国家主権~   
#2絶対王政への反抗~フランス革命~   
#3ナポレオン戦争~欧州近代史の始まり~ 
#4イタリア統一戦争
#5クリミア戦争
#6アメリカ独立戦争
#7アメリカ南北戦争
#8アヘン戦争
#9普仏戦争         
#10ビスマルク外交とベルリン会議     

第12回「教養としての戦争と法と医療」勉強会を開催しました
弊社主催の勉強会「教養としての戦争と法と医療」の第12回が開催されました。今回のテーマは 「日露戦争と近代日本の転換点」 でした。
本講義では、20世紀初頭の東アジアにおけるパワーバランスの変化と、日露戦争(1904–1905年)が日本の国際的地位、軍事、医療、法制度に与えた影響について、多角的に解説が行われました。
主な内容は以下の通りです。

1. 日露戦争の背景と戦争の勃発
日露戦争は、ロシアの南下政策 と 日本の朝鮮半島防衛 をめぐる対立が深まる中で勃発しました。
講義では、1895年の三国干渉から日英同盟の成立、満州でのロシアの勢力拡大、交渉の決裂に至るまでの外交的経緯について詳しく解説されました。
特に、日露両国の外交戦略と、戦争回避の可能性についても言及されました。

2. 戦争の展開と主要戦闘
戦争の開始となった 旅順港奇襲 から 奉天会戦 に至るまで、陸戦・海戦の要所が丁寧に説明されました。

旅順攻囲戦(1904年8月–1905年1月)
 近代戦における要塞攻略の難しさと、乃木希典将軍率いる日本軍の苦闘が詳述されました。

黄海海戦・日本海海戦(1904年8月・1905年5月)
 日本海軍の大勝利による制海権の確立が、戦争全体の行方を大きく左右したことが強調されました。

奉天会戦(1905年2月)
 満州最大の陸戦であり、ロシア軍に決定的な打撃を与えた戦いとして、戦術・兵站面からの解説が行われました。

3. 戦争の結果とポーツマス条約
1905年9月に締結された ポーツマス条約 では、日本は南満州の租借権と樺太南部を獲得しましたが、賠償金の獲得が叶わなかった ことで国内では不満が爆発し、日比谷焼打事件 などの社会的混乱も起こりました。
講義では、この条約がその後の日本の外交方針や国内政治に与えた影響についても解説されました。

4. 戦争が医療・法制度に与えた影響
日露戦争は 軍医制度の近代化 に大きな影響を与えました。
1)野戦病院の整備 や 戦傷兵の治療体制 の改善
2)赤十字の国際的役割の拡大
3)防疫体制の強化による公衆衛生の発展

また、戦争捕虜の扱いを巡る 国際法の適用 に関する議論も紹介され、戦時国際法の発展に寄与した側面が強調されました。

5. 戦争の余波と日本社会の変化
日露戦争の勝利は日本に国際的地位をもたらした一方で、国内では 軍国主義の台頭 や 国民の過剰な自信 も助長しました。
この戦争を契機に、日本の国家体制と社会意識が大きく転換したことについても考察が行われました。

参加者からの声と次回のご案内
今回の勉強会でも、参加者からは「戦争が医療や法制度の発展に果たした役割」について多くの質問や意見が寄せられ、特に 医療の進化と国際法の適用 に関する議論が活発に行われました。

【次回シリーズのご案内】
次回からは 「第一次世界大戦」 をテーマに、全3回のシリーズで開催いたします。
20世紀最大の戦争であり、世界秩序や国際法、医療、軍事戦略に多大な影響を与えた 「第一次世界大戦」 の全貌を多角的に解説していきます。

<今後の予定>
第1回:「第一次世界大戦の勃発と戦争の初期展開」
 欧州の緊張が高まり、サラエボ事件をきっかけに戦争へ突入する経緯と、戦争の序盤の展開について解説します。

第2回:「塹壕戦と総力戦:戦争が変えた世界」
 塹壕戦による長期化、経済・社会動員の総力戦体制が世界に与えた影響について分析します。

第3回:「戦後の講和と国際秩序の再編」
 ヴェルサイユ条約と戦後の国際秩序の変化、戦争の余波がもたらした新たな課題について考察します。