「2026年度診療報酬改定の政策意図を読み解く」
対談(第3回)開催報告
弊社では、医療制度および診療報酬改定を、医療機関経営に直結する外部環境として捉え、継続的な議論と情報発信を行っています。
2026年3月14日に実施した本対談の第2回では、医療ジャーナリストの村上和巳氏と、株式会社AMI&I 代表取締役 溝口博重が登壇し、
「2026年度診療報酬改定の背景にある政治構造と政策意図」をテーマに議論を行いました。
動画は下記より視聴可能です
【2026年度診療報酬改定】揺れる政局、医療の未来は | 解説 | Medical Tribune
① 政権の見通し:短期安定・中期不安定
- 高市政権は衆院の議席を背景に2028年参院選までは安定
- ただし、その後は不確実性が高い
特に重要なのは2点:
- 経済リスク(最重要)
- 財政出動 → 金利上昇
- エネルギー価格上昇 → 物価上昇
- 実質賃金が追いつかない可能性
- 「経済が看板」ゆえに失速時のダメージが大きい
- 連立リスク
- 日本維新の会との関係は不安定
- 政策の乖離 → 連立解消の可能性
- 参院選を契機に政権が揺らぐシナリオ
② 次の連立軸:国民民主・新興勢力の台頭
- 維新に代わる選択肢として
- 国民民主党(参院25議席)
- チームみらい(新興勢力)
- 参政党も一定の存在感
政策面では:
- 国民民主
- 医療従事者の処遇改善
- GP制度(かかりつけ医登録制)
- チームみらい
→ 特徴は「理念(国民民主)」と「技術(チームみらい)」の分業構造
③ 医療政策の評価(溝口コメント)
- GP制度
- 方向性は正しい(国際標準)
- ただし日本のフリーアクセス文化との摩擦が課題
- アウトカム評価
- 理念は理解できる
- しかし現状はツール先行
- リスク:
- 実装優先領域
- レセプト審査の統一化
- AIによる査定効率化
→ 現場より「制度インフラ側」から手をつけるべき
④ 国際情勢リスク → 病院経営直撃
- イラン情勢 → LNG価格上昇
- LNG +10% → 電気代 +2〜4%
病院への影響:
→ LNG +20%で 即消失
さらに:
結論:
- インフレに制度が追いついていない
- ライフラインコストは完全に「病院持ち出し」
⑤ 戦略メッセージ:2030年を起点に考えろ
今回改定の本質:
- 従来:院内完結(入口〜滞留)
- 今後:出口(地域連携)重視
つまり:
重要な視点:
- 点数ベースではなく「機能ベース」で考える
- 地域医療構想(2040)を前提に戦略設計
まとめ(構造的理解)
この議論のコアは3点に集約されます:
- 政権は短期安定・中期不安定(経済+連立)
- 医療政策は「理念(GP)」と「技術(AI)」のせめぎ合い
- 外部環境(エネルギー・物価)が病院経営を直撃
そして最も重要なのは:
「診療報酬に適応する経営」ではなく
「2030年の医療提供構造に適応する経営」への転換
ここを外すと、制度変更に振り回され続ける構造になります。