2025年1月4日、弊社主催の勉強会「日本の医療制度の歴史」第2回が開催されました。今回のテーマは「日本の医療制度の歴史~近代篇~」。講師は弊社代表であり、医療経営と政策の専門家である溝口博重が務めました。
明治時代から大正時代にかけて、日本の医療制度は大きな変革を迎えました。本勉強会では、この時期における日本の医療体制の発展を、歴史的背景や政策的視点を交えながら解説しました。
1. 明治時代の医療制度改革
明治維新以降、日本は西洋の医療技術や制度を積極的に導入しました。本セッションでは、以下の点が詳しく解説されました
西洋医学の導入: ドイツ医学を中心とした医療教育の近代化と、医師養成制度の整備。
医師免許制度の導入: 1874年に制定された医術開業試験と、医師資格の標準化への取り組み。
公衆衛生の推進: コレラや結核といった感染症への対策と、衛生行政の確立。
2. 医療機関の整備と拡充
この時期には、医療機関の整備が本格化し、近代的な病院の基盤が形成されました。特に以下の内容が取り上げられました。
国立病院と私立病院の役割: 地域医療の拡大と、医療アクセスの向上。
赤十字社の設立: 災害時医療や救護活動の重要性が語られました。
3. 大正時代における医療の進展
大正時代には、都市化や産業化に伴い医療の需要が増加しました。この時期の特徴として、以下のポイントが解説されました。
社会保険制度の萌芽: 社会的な医療保障の必要性が議論され始め、後の国民健康保険法成立への布石となった動き。
医療技術の発展: 西洋の医療技術や薬品がさらに普及し、診療の質が向上した背景。
4. 日本の医療制度が直面した課題
近代化の進展とともに、都市と地方の医療格差や医師不足などの課題も生じました。これらの問題をどのように克服していったのかが、具体的な事例とともに解説されました。
5. 近代医療が現代に与えた影響
明治・大正時代に確立された医療制度の基盤が、現代の日本医療にどのように引き継がれているかについて考察しました。特に、医師免許制度や公衆衛生政策が与えた影響については、参加者からも多くの質問が寄せられました。
今回の勉強会では、近代における日本の医療制度の形成過程を通じて、現代医療の背景を深く理解することができました。参加者からは、「医療制度が社会の変化とともにどのように進化してきたのかを知る貴重な機会だった」といった声が寄せられました。
次回は「日本の医療制度の歴史~昭和篇~」をテーマに、戦後日本の医療制度の発展と課題について解説する予定です。引き続き、多くの皆様のご参加をお待ちしております。