2025年1月5日、弊社主催の勉強会「日本の医療制度の歴史」第3回が開催されました。今回のテーマは「日本の医療制度の歴史~昭和篇~」。
講師は弊社代表であり、医療経営と政策の専門家である溝口博重が務めました。
戦前から戦後にかけての昭和時代は、日本の医療制度において多くの変革が行われ、現代の基盤が形成された時期です。
本勉強会では、その歴史的背景や政策的な視点を交えながら、この時期の医療制度の発展について詳しく解説しました。
1. 戦前昭和期の医療制度
戦前の昭和時代には、近代医療の拡充が進む一方で、戦争が医療体制に大きな影響を与えました。本セッションでは、以下のトピックが取り上げられました。
戦時体制下の医療の役割: 医療資源が軍事に集中し、民間医療の制限が課された状況。
国民健康保険法の制定(1938年): 国民の健康保険制度の整備と、農村部への医療アクセス改善を目指した初期の取り組み。
2. 戦後昭和期の医療制度改革
戦後の日本は、敗戦からの復興とともに医療制度の大幅な見直しを行いました。特に以下の内容が詳しく解説されました。
新しい公衆衛生制度の導入: GHQ(連合国軍総司令部)の指導の下、公衆衛生の重要性が再認識され、結核や感染症対策が強化されました。
1958年 国民皆保険制度の確立: 全ての国民が医療保険に加入する体制が整備され、医療アクセスが飛躍的に向上しました。
医療提供体制の再構築: 国公立病院の整備や医療従事者の育成に重点が置かれ、医療の質が向上。
3. 昭和中期以降の医療発展
昭和30年代以降は、経済成長とともに医療制度も進化を遂げました。以下のトピックが議論されました。
高度経済成長期の医療需要の増加: 医療技術の進化と、医療費の増大がもたらした課題。
医療費抑制政策の開始: 高騰する医療費に対応するため、診療報酬制度や薬価基準の導入。
地域医療の充実: 離島や過疎地への医療アクセス改善の取り組み。
4. 昭和時代の医療制度が現代に与えた影響
戦後の改革や国民皆保険制度の確立が、現代の日本の医療制度に与えた影響について考察しました。特に、全ての国民が平等に医療を受けられる基盤が整った点が強調されました。
5. 参加者の声
参加者からは、「国民皆保険制度がどのようにして成立したのかを知ることで、現代の医療課題をより深く考えるきっかけになった」といった感想が寄せられました。
また、医療費抑制や地域医療への取り組みについて、実務に活かせる示唆を得たという意見も多く見られました。
次回は「日本の医療制度の歴史~平成篇~」をテーマに、平成以降の医療制度の発展と課題について取り上げます。引き続き、多くの皆様のご参加をお待ちしております。