地域医療構想会議の活性化を目的とした新資格「地域医療構想アドバイザー」は、都道府県が、選定要件を参考に、都道府県医師会と協議しながら選ぶそうです。
その気になる選定要件は、
(1)地域医療構想や医療計画などの制度を理解
(2)医療政策、病院経営に関する知見を有する
(3)各種統計、病床機能報告などに基づくアセスメントができる――など。
要件を満たすのは、大学の公衆衛生学の教員などが想定され、厚労省内に「地域医療構想アドバイザー組織(仮称)」を設置し、アドバイザーへの助言などを行うそうです。
溝口私見
実際問題として、民間病院が多い日本の地域医療状況を考えると、公衆衛生学のセンセイでどうにかならないと思いますし、診療報酬をいじるしかできない医療コンサルタントの出る幕じゃないし、各種統計の資料ばっかり印刷するシンクタンク系の人でもダメ、と。
そもそも医療政策に精通し、病院マネジメントの経験を有し、中立的な立場で制度を理解して、全体最適をできる人材がどれだけ国内にいるのか、という話です。特に民間病院からすれば死活問題にもなる問題を、机上でしかものを語れない人がくれば速攻排除されそうですし。
もっといえば、地域医療構想会議に各病院から決裁者が参加しているのか、という話もあります。事務長はおろか、事務のペーペーが参加している事も少なくなく、事実上、形骸化してしまっているエリアも少なくありません。
そういう意味では、行政主導ではありますが、奈良方式は非常に良い進め方のような気がします。
厚労省の参考例ではなく、自分たちで考えて、奈良県での最適化を模索しており、各病院とも、反応が良いとは言い難いものの、着実に形にしていると感じます。
その肝は「面倒見の良い病院」をどう作るか、という点にあります。厚労省でいう「支える医療」というやつですが、これを現場でも理解できるレベルに落とし込んで話をしている事が良いのだと思います。もっとも、病院経営まで踏み込んでおらず、そこからどうすればいいの?がないため、二の足を踏んでいる病院もありますが。そういう意味では医療政策と病院経営に関する勉強会を開催するなど、病院経営の質の向上と変化を促す取組が補足的に必要なのかもしれません。