オンライン診療、オンライン検査、オンライン服薬指導と、直接対面せずとも色々と出来るという事で、特区では新しい取組がなされています。愛知県、兵庫県養父市、福岡市は特区として、こうした取組を先行して始めておりますが、どこまで需要があるのか、とも思えます。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201806/556567.html
オンライン診療やオンライン服薬指導に対してネガティブというより、ここは普通に「患者側の要望」というのがあります。
基本的に大病でもない限りは軽症の患者さんですから、欲しいのは「クスリ」と「安心」です。万が一、何かあったらどうしようの初診の方には不向きなのは確かです。慢性疾患であれば、いつもの処方薬をください、だけで問題ないかもしれませんので、QOL疾患のみ対象になるのではとも思いますし、それであったらリフィル処方箋で問題ないのではないか、とも思います。
医師側の言い分は万が一何かあったら困る、という事でしょうが、現実問題、QOL疾患の方に対して、毎回しっかりと問診や身体所見をとっているケースは稀だと思いますので、説得力がありません。
ついでオンライン服薬指導ですが、対面服薬指導でなくともよい、という事になると、いよいよ調剤薬局の物流会社化が始まるといえるでしょう。薬剤師が在籍しているプレゼンスがないのであれば、それこそ、ヤマトやアマゾンが対応した方がよほど効率が良い気がします。
そして、掛かってくるのが、患者の要望です。
これには2つの前提がありまして、これまでにないやり方を受けて入れてもらう事、と、これまでにないやり方を多くの人が利用する事、の2つがクリアできないと市民権は得ないかと思います。若い人であれば柔軟に受け入れ可能ですが、そもそも患者のボリュームゾーンではないです。チャンピオンケースとして成功事例だと喧伝するのは構いませんが、事実上の運用についてはすぐに廃れてしまうと思われます。
もし、オンライン診療やオンライン服薬指導をしたいのであれば、地域での利用率を上げる取組が必要不可欠であるといえるでしょう。
そして、医療機関に対しては「本当に必要なの?」という事を問う必要があります。
社会全体としては、それなりにインパクトがある「オンライン系医療行為」ですが、単一の医療機関にとっては運用責任者もいないツールをどう使うか、そして浸透させるのも自分、責任取るのも自分という新規事業の開拓を肩代わりする必要があります。
個人的には、実証試験的な取組以外では、導入は時期尚早かと思っています。
よしあし、というより、患者=市民のみなさんの受け入れ段階までいっていない、というのが個人的な見解です。